量子アニーリングマシンを使ってPQCを突破することってできないの? |
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結論からいうと、現時点では量子アニーリングマシンを使ってPQC(耐量子計算機暗号)を突破する、というのは基本的にできません。 そして重要なのは、
という点です。 そもそも量子アニーリングとPQCは相性が違う量子コンピュータには大きく、 という違いがあります。 現在PQCが特に警戒しているのは、量子ゲート方式の量子コンピュータです。 例えばRSAやECCについては、
というのがPQC移行の大きな理由です。 量子アニーリングは何をしている?量子アニーリングはざっくりいうと、
ものです。 例えば、 という組合せが大量にある問題を、 として探すような発想です。 そのため、
などが代表的な用途です。 「暗号鍵を総当たりすればいいのでは?」ここで少し可能性が出てきます。 例えばAES-128の鍵を探す問題を、
という最適化問題に変換できるなら、 量子アニーリングで鍵探索を高速化できないか? という研究は当然考えられます。 ただし、これは
にはなっていません。 そもそもPQCはこういう攻撃を想定しているPQCは、
を利用します。 例えば代表的なものが格子問題です。 この種の問題について、
ことが重要です。 量子アニーリングなら格子問題を解けるのでは?ここが研究上面白いところです。 格子問題や暗号解読問題の一部を、 に変換して解こうとする研究はあります。 しかし、 「QUBOに変換できる」=「効率的に解ける」 ではありません。 巨大な問題をQUBOに変換すると、
などの問題が出てきます。 むしろ現在の量子アニーリング機には大きな制約がある例えばD-Waveのような量子アニーリングマシンを考えても、
とはいきません。 現実には、 という工程が必要です。 しかも、問題サイズが大きくなるほど厳しくなります。 ではPQCは「量子アニーリングには強い」と言える?単純にそう断言するのも少し違います。 PQCの安全性評価では、特定の量子コンピュータ方式だけでなく、
という観点で評価します。 そのため、 ではありません。 新しいアルゴリズムが発見されれば話は変わります。 RSA/ECCとの違いを見ると分かりやすいRSA/ECCの場合、 という非常に強力な攻撃が知られています。 だからPQCへ移行します。 一方、PQCでは、 という状態です。 そして「量子アニーリング=量子版総当たり」でもないここも重要です。 量子アニーリングは、
ではありません。 よくある「量子コンピュータなら全部の組合せを同時に計算できる」という説明はかなり誤解を招きます。 量子アニーリングの場合は特に、 問題をエネルギー最小化問題として表現し、その低エネルギー状態を探索する というものです。 したがって、暗号鍵探索に使ったからといって、鍵空間が単純に になるような魔法が起きるわけではありません。 ではPQCを本当に脅かすのは何?現状最も重要なのは、 十分大規模で誤り訂正された量子ゲート型コンピュータ です。 そして、
などが問題になります。 特にPQCでは、「量子コンピュータがいつ実用化されるか」だけでなく、「新しいアルゴリズムが発見される可能性」も含めて安全性を考える必要があります。 なので、
への答えは、 「研究対象にはなり得るが、現在の量子アニーリング技術でPQCを実用的に破ることはできない。PQCが主に想定している脅威は、ShorやGroverを実行できる大規模な量子ゲート型コンピュータ」 となります。 |
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