非常に良い質問です。
CPUグリス(サーマルグリス、サーマルコンパウンド)は、
CPUとヒートシンクの間にある微細な空気の隙間を埋めて、熱を効率的に伝えるための熱伝導材です。
見た目は灰色や白いペーストですが、その中身は科学的に緻密に作られています。
以下で、構成・種類・性能差まで詳しく解説します。
【1. CPUグリスの基本構成】
CPUグリスはおおまかに次の2つでできています:
| 成分 | 役割 |
|---|
| ベース(母材) | ペーストの形状を保つ。熱伝導粒子を均一に分散させる。 |
| 熱伝導フィラー(粉末) | 実際に熱を伝える主成分。金属や酸化物など。 |
【2. ベース(母材)に使われる素材】
主に以下の3種類があります:
| 種類 | 特徴 |
|---|
| シリコーンオイル系 | 最も一般的。化学的に安定で安価。長期使用でも乾きにくい。 |
| 合成油(ポリアルファオレフィンなど) | 高性能グリスに使われる。低揮発・高耐熱。 |
| 液体金属系(ガリウム合金) | グリスというより「金属液体」。極めて高い熱伝導率を持つ。電導性あり。 |
【3. 熱伝導フィラー(熱を運ぶ粉)】
熱伝導率を高めるために、以下のような微粒子が混ぜられています:
| 材料 | 特徴 | 熱伝導率の目安 |
|---|
| 酸化アルミニウム (Al₂O₃) | 安価で安定。白っぽい色。 | 2〜4 W/m・K |
| 酸化亜鉛 (ZnO) | 古くから定番。コストパフォーマンスが良い。 | 3〜5 W/m・K |
| 窒化ホウ素 (BN) | 絶縁性と高熱伝導を両立。高級モデルに採用。 | 20〜40 W/m・K |
| 銀 (Ag) | 高価だが優れた導熱性。代表例:Arctic Silverシリーズ | 8〜10 W/m・K(粉末ベース) |
| ダイヤモンド粉末 | 最高レベルの熱伝導性を誇る。超高級品に使用。 | 30〜50 W/m・K |
| 液体金属(ガリウム+インジウム+スズ) | 固体金属を溶かした液体。熱伝導率は桁違い。 | 70〜80 W/m・K以上 |
【4. 種類ごとの特徴】
| 種類 | 熱伝導率 | 電気伝導性 | 特徴 |
|---|
| シリコーン+酸化物系 | 3〜8 W/m・K | なし | 一般的で扱いやすい。初心者向け。 |
| 金属粉末系(銀・銅など) | 8〜15 W/m・K | あり(少し注意) | 高性能PC・OC向け。 |
| ダイヤモンド系 | 15〜30 W/m・K | なし | 最高級モデル。長寿命・絶縁。 |
| 液体金属系 | 70〜80 W/m・K以上 | あり(絶縁ではない) | 圧倒的性能。ただしアルミを腐食させるので注意。 |
【5. 性能の決め手】
良いグリスを選ぶ際は以下をチェックします:
【6. 注意点】
グリスの塗りすぎは逆効果(熱伝導層が厚くなりすぎる)。
液体金属系はアルミ製ヒートシンクを腐食させるため、銅またはニッケルメッキ面専用。
長期間使用すると油分が揮発して固化することがあるため、2〜3年ごとに塗り直し推奨。
【まとめ】
| 要素 | 内容 |
|---|
| 主成分 | シリコーンオイルや合成油 |
| 熱伝導粒子 | 酸化アルミ・銀・ダイヤモンドなど |
| 熱伝導率 | 一般:3〜10 W/m・K、高級:20〜80 W/m・K |
| 目的 | CPUとヒートシンクの間の熱抵抗を最小化 |
| 特殊タイプ | 液体金属(ガリウム系)=最強だが扱い注意 |
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