Wi-Fiの暗号化方式である WEP、WPA、WPA2、WPA3 は、それぞれの世代でセキュリティの強化や改善が行われてきました。以下に、それぞれの違いや仕組み、脆弱性、強化点を詳細にわかりやすく比較・解説します。
✅ 一覧比較表(概要)| 項目 | WEP | WPA | WPA2 | WPA3 |
|---|
| 登場年 | 1997年頃 | 2003年頃 | 2004年頃 | 2018年 | | 暗号化方式 | RC4(固定キー) | RC4(TKIP) | AES(CCMP) | AES(GCMP)+SAE | | 鍵管理 | 静的キー(共有鍵) | 動的キー(TKIP) | 動的キー(4-wayハンドシェイク) | SAE(より安全な鍵交換) | | 主な脆弱性 | 極めて脆弱(数分で破られる) | TKIPの設計が古い | KRACK攻撃など | 一般的には現在最も安全 | | 現在の評価 | 使用禁止レベル | 非推奨(弱い) | 可(ただしWPA3が優先) | 推奨(最も安全) |
🔍 各方式の詳細と脆弱性・改善点
◆ WEP(Wired Equivalent Privacy)● 主な脆弱性| 内容 | 説明 |
|---|
| IVが短い(24bit) | 数千パケットでIVが再利用される(=統計攻撃で鍵がバレる) | | RC4が脆弱 | キーストリームに偏りがあり、WEPの性質と合わせて解読可能 | | 鍵更新なし | 一度盗まれればずっと解読される(セッションごとの鍵更新なし) |
▶ 脆弱性の影響:
◆ WPA(Wi-Fi Protected Access)● 改善点| 改善項目 | 内容 |
|---|
| 動的キー管理 | TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)で毎パケット鍵を変更 | | パケット整合性 | MIC(Message Integrity Check)で改ざん検知 |
● 主な脆弱性| 脆弱性 | 説明 |
|---|
| TKIP自体が旧設計 | レガシーなRC4を使用しているため根本的に安全とは言えない | | 改ざん対策が弱い | TKIPのMICはKRACK攻撃に対して不完全 |
▶ 現在:
◆ WPA2概要:WPAの正式後継。IEEE 802.11iとして標準化。 暗号方式:AES + CCMP(Counter Mode with CBC-MAC Protocol) 鍵交換:4-wayハンドシェイク(セッションごとに異なる鍵)
● 強み| 強化項目 | 内容 |
|---|
| AES導入 | RC4より安全な共通鍵ブロック暗号方式(軍事レベル) | | CCMP採用 | 改ざん検知と暗号が一体化した設計で整合性が強化されている |
● 主な脆弱性| 脆弱性 | 内容 |
|---|
| KRACK攻撃(2017) | 4-wayハンドシェイクの再送処理を悪用し、鍵再利用を誘発して盗聴される | | デフォルト設定の弱さ | ユーザーが短く脆弱なパスフレーズを使うとブルートフォースで突破可能 |
▶ 対策
◆ WPA3概要:2018年にWi-Fi Allianceが発表した最新規格。WPA2の脆弱性を解消。 暗号方式:AES + GCMP(Galois/Counter Mode Protocol) 鍵交換:SAE(Simultaneous Authentication of Equals)
● 強み(大幅強化)| 特徴 | 内容 |
|---|
| パスワード強度 | SAEで辞書攻撃・オフライン攻撃に非常に強い | | 前方秘匿性 | セッションごとに鍵が独立 → 1回盗まれても他セッションは安全 | | 個人データ保護 | パブリックWi-Fiでも個別暗号化(OWEなど)で盗聴防止 | | IoT対応 | WPA3-SAE + DPP(Device Provisioning Protocol)で安全に初期設定可能 |
● 脆弱性と課題| 弱点 | 内容 |
|---|
| 過去には実装ミス(Dragonblood) | 2019年、SAEの一部実装が不完全で辞書攻撃が可能だったが、仕様の欠陥ではない(修正済み) | | 古い機器との非互換 | WPA3を使用するには対応機器・OSが必要(特に業務用途では導入のハードルがある) |
▶ 現在:
✅ おすすめ利用指針| 使用状況 | 推奨する方式 |
|---|
| 2025年以降の新機器 | WPA3一択(SAE推奨) | | WPA3非対応デバイスあり | WPA2(AES/CCMPのみ) | | 古い機器(2003年以前) | 使用不可・更新すべき | | 公共Wi-Fiなどを使う場合 | WPA3 or VPN併用 |
✅ まとめ:脆弱性と改善の流れ| 世代 | 脆弱性の本質 | 改善点 |
|---|
| WEP | 短いIV、固定キー、RC4の偏り | 動的鍵と鍵更新の導入(WPA) | | WPA | TKIPの弱さと設計の限界 | AES/CCMPへの移行(WPA2) | | WPA2 | 4-wayハンドシェイクの再送問題(KRACK) | SAE導入、前方秘匿性(WPA3) | | WPA3 | 実装ミスの余地はあるが仕様としては堅牢 | 現在最も安全な選択肢 |
✅ 補足:AES/RC4の違い| 項目 | RC4 | AES |
|---|
| 暗号種別 | ストリーム暗号 | ブロック暗号(128bit単位) | | 安全性 | 古く、既知の脆弱性が多い | 現在でも軍事・商用で使用される | | 用途例 | WEP, WPA(TKIP) | WPA2, WPA3(CCMP, GCMP) |
|
この記事へのコメント